少年法の在り方について(案)

平成12年5月  日
自由民主党政務調査会法務部会

少年法に関する小委員会

第1 従前の経緯

 近年、平成9年の「神戸連続児童殺傷事件」に象徴されるように、少年犯罪の凶悪化、低年齢化が問題となり、少年法の在り方が国民の大きな関心事となったことから、我が党においても、平成9年10月、政務調査会法務部会の下に「少年法に関する小委員会」を設置し、関係各界からヒアリングを行うなど、精力的に調査検討を進めてきた。その結果、平成10年4月には、少年審判への検察官関与などを柱とする事実認定手続きの適正化について急速に法改正を行うべきであるとする中間取りまとめを行った。更に、小委員会は、その後も残された問題について鋭意検討を進めた結果、平成10年12月には、前期中間取りまとめの内容に沿った法整備を行う政府提出に係わる「少年法等の一部を改正する法律案」の成立に全力を挙げるとともに、刑事処分可能年齢を16歳から14歳に引き下げること、少年審判におけるを被害者への配慮に関する規定を設けること、親の責任を明確化する規定を設けることなどを内容とする報告書を取りまとめた。

 政府提出に係る前記少年法改正法案は、平成11年3月に第145回通常国会に提出されたものの、同通常国会及び第145回臨時国会においては審議に至らず継続審議となり、第147回通常国会において、本年5月にようやく審議が開始されたが、現在の政治情勢等から今国会での成立は困難が予想される状況にある。しかしながら、近年、17歳の少年によるバスジャック事件など、少年による凶悪重大事件が続発し、少年犯罪問題への対応が急速に解決を要する重要な国民的課題となったことから、直ちに少年法に関する小委員会において検討行い、下記の通り、少年法の見直しの方針について小委員会としての考え方を取りまとめた。

第2 少年法の見直しの方針

1 少年法の理念
 少年法のめざす「少年の健全育成」という基本理念は今後も堅持するべきであるが、少年を甘やかすだけとなるような意味での保護主義的に偏するのではなく、罪を犯せば罰せられるとの法規範を明示し、犯罪を抑止する必要があるとともに、少年に自己の行為について責任を自覚させ、自省を求めることも、我が国の将来を担う少年の健全育成を図るという観点から重要であるとの見地から、少年法の在り方を見直すべきである。

2 年齢問題
@ 刑法は14歳以上の者について刑事責任能力を認めているにもかかわらず、少年法は刑事処分可能な年齢を16歳以上と定め、14歳、15歳の少年については刑事処分を科することができないこととなっているが、年少少年であっても刑罰を科されることがあることを法規範として明示するために、刑事処分を可能とする年齢制限(16歳以上)を撤廃すべきである。

A また、刑法で刑事責任年齢を14歳と定めている点について、少年に責任を自覚させ、かつ低年齢の少年について捜査を可能にするため、これを更に引き下げるべきであると考えるが、この点は、現行刑法の基本的枠組みにも関連することから、今後の少年犯罪の推移を見極めつつ、法務省は検討を行うべきである。

3 少年に対する刑事処分の在り方
@ 少年法刑事処分相当として逆送するのは裁判官の裁量に委ねられているが、殺人、強盗、強姦など、極めて凶悪重大な犯罪については、少年の年齢を考慮しつつ、原則として逆送する制度を設けるべきである。

A 犯行時18歳未満の少年に対しては、死刑をもって処断すべきときは無期刑を科すこととし、その場合、7年を経過すれば仮出獄が可能とされているが、本来死刑が相当とされた犯罪であることにかんがみ、このような場合は、仮出獄が可能となる期間を見直すべきである。

B 犯行時18歳未満の少年に対しては、死刑を科すことができないことから、終身刑を導入し、少年に終身刑を導入し、少年に終身刑を科することができるように改めるべきではないかとの問題も提起されたが、国際条約上18歳未満の者に対しては死刑及び釈放の可能性がない終身刑を科すことを禁じていること、終身刑の問題は少年のみにとどまらず、少年及び成人を通じた刑事司法全般の問題であることから、法務省は今後検討を行うべきである。

4 被害者への配慮
 少年犯罪の被害者については、少年法の趣旨を考慮しつつも、その立場を尊重しなければならないことは当然であり、重大な事件については、一定の範囲で被害者も手続きに関与できるような措置を講ずるべきである。

5 親の責任
 少年の非行の原因・背景として親の教育・しつけの在り方の問題があり、少年非行を防止する上での親の役割は大きいと考えられることから、親の責任を理念的に明らかにするような規定を設けるべきである。

第3 結び
 戦慄を覚えるような最近の少年犯罪を目の前にして、我々は国民の目に見えるようだ形で早急な対策を求められている。少年非行の背景にはさまざまな要因があり、教育をも含めた幅広い観点から総合的な政策が必要である。我々は、いたずらに少年を厳罰に処すべきであるとの考えに立つものではないが、少年の規範意識の低下が指摘される中、罪を犯せば罰せられるとの法規範を明示して、犯罪の抑止を図る必要がある上、少年に自己の行為について責任を自覚させ、自省を促すことも、事実認定手続きの適正化とともに、重要な課題である。少年も一個の人格であり、これを尊重する必要があることは当然であって、社会生活には責任が伴うことを少年に教え、少年の健全な育成を図ることは、我々に課された責務であるとの認識の下、今後とも引き続き、これらの課題に取り組んでいく決意である。


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