11・24委員会 傍聴メモ

 この日が最後の委員会審議となりました。午前10時から委員質疑が始まり、午後3時すぎに質疑を打ち切って与党案を賛成多数で可決しました。大勢の傍聴の市民の目の前でした。前もって民主党と与党との修正協議で、5年後の見直し条項を付則に加えるだけの修正が合意されていたため、まず修正案次いで原案が可決されたものです。橋本(共産)・福島(社民)・中村(無所属)の3名が修正・原案ともに反対しました。次いで付帯決議拘束期間を再検討するなど危険の多い8項目を同様に賛成多数で可決しました。

 自民党の佐々木知子議員(元検事)は、質問に借りて、検察官関与が少年に不利益ということはない、14歳で刑事処罰というのも(イギリスのバルガー事件を引いて)日本が例外的、ということを強調しました(ちなみにイギリスで同事件を契機に年少少年の身体拘禁への反省が出ていることには触れずじまいでした)。

 民主党の小川議員は施設視察の感想を踏まえて「環境に恵まれない少年が多い、社会環境の被害者ではないか」、麻生「同じ環境に育っても立派にやっている者もいる、何となくムシャクシャというような理由でまともにやっている子どもを殺める理由にはならい」(少年犯罪は本人の意思か環境かという問題ではなく大人のサポートの問題だということが議論されていない)
 与党の検察官関与への疑問を提起。「少年が争った場合でも検察官に補充捜査を依頼する等して、現行法で相当やれるのではないか」家庭局長「審判になってアリバイ主張が出たり単独犯が共犯主張したような時には検察官がいれば迅速的確に補充捜査がやれるようになる」小川「裁判官がポイントをわかっているので裁判官が捜査依頼をすればよい」谷垣「補充捜査だけの問題ではない、裁判官が加害者とだけ対面してやっていることに国民の不信がある」

 民主党の武村議員「与党提案は政策変更の手順(凶悪事件が増えているのか、これまでの方法で効果がないのか、刑事処罰にすれば凶悪犯罪が減るのか、等の検討)を踏まえずに結論だけでやっているのではないか」麻生「そういう言い方は不勉強の極みだ、われわれは河村議員の元で小委員会を開くなどして検討してきた」(河村小委員会のヒアリングで少年院長・鑑別所長が厳罰化に疑問を述べたことは何もいわない)
 「これまでの少年院教育は効果を上げてきたのではないか」保岡「これまでのピークに対して少年院は克服する努力をしてきたのは評価される、今回の改正は事実認定や確信犯愉快犯への規範意識、被害者配慮という観点から行われるものと理解している」
 「危険な若年者を増やすことにならないか」保岡「アメリカはむしろ減らしている、最近の少年犯罪の特色からして必要な改正、少年犯罪は大人社会の鏡で大人社会のありようも大切、この委員会での議論は高い評価を受けている」(教育基本法と憲法の問題発言を自画自賛している?)
 「捜査について触れていないのは問題、草加事件の例もある」保岡「少年事件は早期処理が要請であり、嫌疑があれば家裁に送致しなければならない」(成人でも同じ捜査期間で起訴していることに触れていない)
 杉浦「現実の警察検察の対応が十分でないというのは当たっている」といいつつ「原則逆送にしたのも地裁への起訴を考えてきちんと捜査する」との説明を繰り返す

 公明党の魚住議員「原則逆送は家裁にどういう影響を与えるか」家庭局長「調査官調査を踏まえてケースに応じて裁判官が判断するので、基本的には従来と同様である、処分がどうなるかは自分からは差し控えたいが、国会の議論と立法趣旨に即して適切な決定をしていくと思う」
 「補正予算では?」上田政務次官「矯正施設と更生保護施設に関して修繕費などの請求をした」若干の細かな説明。「更生保護施設をもっと活用すべきでないか、社会奉仕命令を取り入れるべきでないか」

 共産党の橋本議員。検察官関与について北京ルール14条の要求する「手続きを理解し自由にものがいる雰囲気」に反するのではないか、と追及した。少年犯罪被害者と弁護士による「被害者にとっても厳罰化は望ましくない」との意見を紹介した。その他に葛野教授の論文(アメリカ厳罰化の教訓)・大阪弁護士会の意見書(個別ケースの分析)・沢登教授の著作などを引用して、与党案を批判した。

 社民党の福島議員。「これまでの議論には誤導がある、この改正で犯罪が減るのかように報道されているが、委員会の中では犯罪抑止にならないということになっている、長期的にみるべき」高木「長期も短期も必要だ」(50年続いた制度を変えるのだから長期の分析の方は重要な筈だが、その点触れず)
 「改正はどういう事件をターゲットにしているのか、確信犯や愉快犯か」高木「具体的な事件を的にしているわけではない、なお報道が過激になったことも影響を与えていると思う」
 「個別事件についてこれだけ原因・背景を調べたのか、根本原因は何と考えたのか」麻生(それには答えず)「まともな子をまともでない子が殺めて捕まらないのはおかしい」福島「まともな子とをまともでない子に分けてしまうのは問題」
 「修復的司法についてどう考えるのか」高木「もともと日本でも起訴猶予の時などにあった」保岡「これまでにも刑事政策において重視していた、今後も配慮すべき重要な要素である」

 自由党の平野議員。「凶悪犯罪の原因をよく解明してから厳罰の是非を検討するのが筋道だ、提案者自身が社会的総合的検討が要ることを認識していないのではないか、凶悪犯罪の原因はほとんど大人社会のあり方にあると思っている、それにはふたつある、政治家の規範意識が反倫理的、テレビ朝日で子どもから多量のファクスが来たとのこと、また診断書なしに総理をやめさせられたりした、もうひとつの原因は学校教育、特に内申書だ」と指摘したうえで「内申書のできた理由・効果について文部省に聞きたい」文部次官が制度の沿革を説明。「須磨事件の時、菅直人氏が『内申書の評価基準はいい学校という一色しかない』とコメントしていたが同感だ、子どもがある時期親や教師に反発するのは当たり前、内申書をやめてもらいたいというのが私の意見、今後絶対評価になるというが人間が絶対評価などできない、議員連盟を作って子どもの心を回復したい」

 無所属の中村議員。「実情と改正との脈絡がどうしてもわからない。規範意識の確立ということに尽きるようだが、規範には道徳的規範と法律とふたつある、日本の社会は道徳的には崩れている、提案者は法律と道徳をごっしゃにして論じている」谷垣「法律は最低限の道徳だ」中村「人を殺してはいけないということはわかっている、それを守らせるのは何なのか、宣言的効果というが今だって少年法を教えていない」そのあと最近報道された京都医療少年院での自殺事件について質問したが矯正局長「答えは差し控えたい」
(文責・平湯真人)

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